第57章 【第五十六訓】漫画キャラにとって読者は神様です
「どいつもコイツも人気投票なんてくだらんモンに踊らされやがって」
「まったく仕方ない奴等だ」
「上位とろうと思えばとれますしね」
3位、16位、14位の言葉。
○○、銀時、沖田だけではなく、神楽、土方、長谷川、近藤の姿もあることに新八は気づく。
「いい加減にせんか」
さらには手錠に繋がれている桂。
そしてさらには定春とエリザベス。自分より上位のエリザベスを定春はボコボコにしている。
「どうどう、定春。それはマスコットじゃないから、おっさんだから。マスコット一位は定春だから」
○○は二匹――本当は一人と一匹の間に割って入る。
だが、定春は全く聞く耳を持たずにエリザベスを殴り続ける。
「あ、反撃した」
エリザベスは意外な膂力で定春を投げ飛ばした。
定春はくるりと宙を旋回し、四肢で着地。
その間にエリザベスは立ち上がり、脱兎の如く駆け出した。
「足、はっや!」
脛毛の見え隠れするその脚力は○○が思っていたよりはるかに速い。
その後ろを定春は追う。こちらは常日頃から見ているよく知る動物の走り。
エリザベスと定春を見送った○○の背後から桂がにじり寄る。
「○○殿、安心しろ。お主は俺が必ず護る」
「近寄るな!」
血にまみれた顔を寄せられ、○○は顔を背けた。
順位争いに加わっていない○○は誰にも襲われることはない。
不快で厭わしく忌まわしい、この桂の存在から一番護ってもらいたい。