第57章 【第五十六訓】漫画キャラにとって読者は神様です
桂から離れ、○○はホテル内を歩く。
このまま籠城が続けば、桂と一緒にいなければならないということ。
一刻も早く、この事態の収拾を願わずにはいられない。
定春とエリザベスは戻って来ない。
どちらか殺られている、もしくは両者相討ってなどいないだろうなと、○○は彼等を探す。
何度も銀時と訪れ熟知している建物内だが、一人と一匹は見つからない。
「……?」
ふと、何かが壊れるような音が聞こえて○○は立ち止まった。
気のせいかと再び歩き出したが、今度は爆音が聞こえた。これは聞き間違いなどではない。
窓の外には煙も立っている。
「まさか……」
籠城が公になり、人気投票下位の者達が攻め込んで来た可能性が高い。
○○は破壊音がした方へと走った。
「んっ?」
○○の前に二つの白い背中が映り込んだ。
全力で走る○○を軽々と追い抜き、二つの巨体が並走している。
二つの姿は○○を引き離し、角を曲がって消えた。
「何いまの?」
二つの巨体には共に『9位』の文字がついていた。