第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
「銀さーん!!」
銀時の姿を見つけ、○○は飛びついた。
「よかったよォォ! 生きてて!!」
「いでででで! そっち触んな!!」
戦いで負傷した左腕を引っ張られ、銀時は痛みで顔を歪める。
見ると、乾いた血の跡が残っていた。
「銀さん、治療してないの?」
すぐ近くに救護班のテントが出ていたはずだ。負傷者はそこに運ばれている。
「かすり傷だ、こんなもん」
○○に心配かけまいと、銀時は左手を袖の中へと隠した。
「オイ!」
○○は袖を手繰り上げた。
まだ二の腕の傷から痛々しく血が滲んでいる。
「ちゃんと治療しないと危ないよ」
「あんな連中の世話になんてなるかよ」
救護には真選組隊士も当たっている。そんな場所にのこのこと顔を出したくはない。
○○は手拭を出すと傷口に当てた。帯留めでそれを固定する。
「うちに帰ったらちゃんと洗って、消毒しなきゃね」
「一緒に風呂入って、○○が洗ってくれんのか?」
○○は無言で銀時の顔面を殴りつける。
「ケガ人になにしやがる!」
「なんだ、てめーらそーゆ―関係だったのか」
銀時の背後から声が聞こえ、○○は顔を向けた。
「星海坊主さん!」
その頭を見て、思わず○○の顔がニヤける。
「なんで半笑い? どいつもこいつも失礼が過ぎるぞ」
昨日会った時は見事なバーコード頭だったが、今はつるっぱげ。
神楽に右側頭部をむしられた上、砲撃により左側頭部は縮れ毛になり、全て剃り落とすことになってしまった。