第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
「オイ、アレ……!」
回りの隊士達がターミナルを指さし、驚きの声を上げている。
○○は土方に向けていた視線をターミナルへと戻した。
「し、新八君! 定春!」
さらには央国星のハタ皇子と従者の姿がある。彼等は自らを盾とし、神楽救出までの時間を稼ごうとしていた。
ハタ皇子の存在があると知りながら砲撃をすれば、国際問題になる。にも関わらず、松平は攻撃のスイッチを押した。
○○は掴まれていない方の手で土方の胸倉を掴み上げる。
「アンタらの上官、国交をなんだと思ってんの!」
「知るか! テメェで対外交渉のなんたるかを説いて来い!」
○○と土方が不毛な言い争いをしている間にも、最終兵器『松っちゃん砲』は充填されていく。
「銀さーん! 神楽ちゃーん!」
○○の叫びに呼応するかのようなタイミングで、二人は飛び出して来た。
「神楽ちゃん!」
神楽を助け出したことにより、銀時と星海坊主は核への攻撃を開始した。
えいりあんの動きは急速に鈍くなる。だが、一度押してしまった砲撃のスイッチを取り消すことは出来ない。
松平は早く逃げろと声を上げている。
「……ッ」
まばゆい光に、○○は目を閉じた。
砲撃が命中したターミナルから、爆風と瓦礫が降り注ぐ。
再び目を開いた時、銀時らのいた場所は煙に包まれていた。
「そんな……」
土方の手が離される。
○○は力なくその場に膝を着いた。
誰もが言葉を失っている。
銀時も、神楽も、新八も、星海坊主も、あの砲撃を受けては肉片一つ残っていないかもしれない。
しかし、煙の晴れた先に見えたのは、彼等の無事な姿だった。
星海坊主が傘一本で砲撃を食い止めていた。