第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
ターミナルから距離を取った場所でパトカーは停車し、えいりあんへの砲撃を開始した。
ここらで食い止めなければ、江戸の街への侵入を許してしまう。
砲撃を開始してしばらく、えいりあんはターミナルへと後退を始めた。
えいりあんが退いた理由は、ターミナルで戦う二人の存在に依ってだった。
むおおおおおおおと唸り声を上げ、彼等はえいりあんと互角の戦いを繰り広げている。
「ありゃあ、星海坊主だァ!!」
「それに野郎も……!」
えいりあんの中心で、星海坊主と、食われたはずの銀時が戦っていた。
「銀さん!」
○○はパトカーから飛び出した。木刀一本で戦う銀時を、○○は見守った。
この段になり、ようやく幕府の軍艦が到着した。先陣を切っているのは松平片栗虎。
だが、事態はさらに最悪の方向へと向かう。
「神楽ちゃん……!」
神楽がえいりあんに取り込まれた。
松平は一斉放射を宣言し、ターミナル周辺の者達に撤退を命じる。
○○は拳を握り締める。
星海坊主と銀時の二人がかりで手一杯の相手。○○が駆けつけた所で、何の役にも立てないことは明白。
しかし、黙って見ているにも限界がある。
「どこに行く気だ」
駆け出さんとした○○の腕を土方が掴んだ。
「テメェが行ってどうなる」
「離して!」
必死に振り解こうとするが、力強く握られている手は剥がせない。
「このままじゃ、神楽ちゃんが」
「野郎も言ってただろーが」
――お前をあんな危険な場所につれて行くわけにはいかねェ。
「テメェが行ってみろ。守らなきゃならねー荷物が一つ増えるだけだ」
土方の言うとおりだった。
自分が駆けつけることで、銀時に重荷を負わせることになりかねない。
しかし、ではどうしろというのか。