第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
映画の宣伝をしてほしいとの長谷川の依頼を受け、○○と銀時は映画館へと足を運んだ。
職を転々としている長谷川は、今は呼び込みの仕事をしているらしい。
呼び込みのために考えた寸劇の出演者を得るため、長谷川は万事屋へとやって来た。
映画のタイトルは『えいりあんVSやくざ』、主演は竹内刀。
「地球はわしらやくざのもんじゃーい!!」
やくざに扮した銀時と、えいりあんに扮した定春をバックに、○○はビラ配りをしていた。
キャストの名前と、
――括目せよ! 衝撃のラスト! 君は歴史の目撃者になる!!
などと、お決まりの文句が書かれているだけのショボイもの。
寸劇にナレーションを入れる長谷川は、マイクを地面に叩きつけた。
打ち合わせを真面目に行わなかったため、その寸劇はグダグダすぎるものになっていた。
道を行く誰もが一人として目を向けていない。
ビラも配れていない。
「受け取りなさいよ! アナタが受け取らないとゴミになるのよ! 地球の環境に悪いわよ! アナタ、さては地球滅亡を企むえいりあんね!」
などと、○○は往来を行く人々に絡んでいる。
「長谷川さん、社長が呼んでるけど」
映画館の中から掃除のおばちゃんが顔を出し、長谷川を呼んだ。
呼び込みなんてやっても今日は無駄だよと、おばちゃんはフロアに置かれたテレビの前に三人を誘った。
画面にはニュースが流れており、ターミナルで暴れる本物のえいりあんが映っていた。
「またえいりあん?」
昨日の今日で、こうもえいりあんに暴れられては、地球の平和は守れない。
江戸は治安の悪い街だとは知っているけれど、それはあくまで地球人がもたらす問題。
「入局管理局の管理体制どうなっ――」
○○は目を見開いた。
アップになったカメラは、その姿を映し出した。
白い煙が立ち込める中で、神楽がえいりあんと戦っていた。