第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
「どんどん増殖してるよ。何アレ気持ち悪い」
定春の背にまたがり、銀時と○○はターミナルへと向かっていた。
えいりあんはターミナルのエネルギーを吸収し、その姿を肥大化させていた。
「神楽ちゃん……」
○○は神楽の身を案じる。
神楽といえども、あのえいりあんには苦戦している様子だった。
定春は逃げる人波に逆らいながら、ターミナルへと疾駆する。
定春は人の群れを飛び越えた。それは野次馬ではなく、真選組の面々だった。
「旦那ァ!? ○○も!」
「総……ごォ!?」
背後から聞こえた沖田の声に、○○は目を向けた。
その顔が目の前に迫った。沖田が近づいたのではなく、○○が定春の背から落とされたため。
沖田は身を翻し、迫り来る○○をひらりとかわした。そのため、○○は地面に叩きつけられた。
「何すんの! 銀さん!」
○○は振り返ると、銀時を睨み上げた。
沖田をクッションにして突き落としたつもりの銀時は、沖田に眼光を向けた。
「そいつを頼む」
睨みの利いた瞳のまま出た声は、頼みの言葉だった。
「は?」
声を漏らしたのは言われた沖田ではなく、倒れたままの○○。
「何言っ」
「神楽でも手に負えねー化けモンが相手だ。お前をあんな危険な場所につれて行くわけにはいかねェ」
私も戦う。
そう言うであろう○○の言葉を銀時は遮った。