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~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話


「解雇ォ!?」

 翌日、万事屋に出勤して神楽がいないことを知った新八は声を上げた。
 街中で散々暴れた神楽に対し、銀時は一言帰れと言い放った。

「○○さん、止めなかったんですか!?」

 ○○の部屋を覗き、新八は非難の目を向ける。
 神楽に帰れと銀時が告げた時、○○はその場にいたはずだ。

「家族といた方がいいんじゃないかな」

 ただでさえ星海坊主は、戦いを生業としている。
 宇宙最強の名をほしいままにしているとはいえ、いつなんどき命を落とす危険に遭うともわからない。
 あの時、一緒に行っていればと、後悔させるようなことはさせたくない。

 新八は歯ぎしりするような表情でリビングに戻った。
 言い争うような声がしたあと、大きな音がした。
 ○○がリビングを覗くと、銀時が投げ飛ばされていた。

「僕もやめさせてもらいます」

 神楽の気持ちを何も考えていないと、新八は怒って出て行った。
 横切る時、新八は○○に目もくれなかった。

「銀さん……」

 ○○の手には写真が握られている。○○と、○○の母親が写った写真。
 銀時に聞かされただけで実感はないが、○○にもう親はいない。
 両親に対し、自分はどんな風に接していたのだろうかと、考えてしまう。

「本当にこれで……」

 神楽の気持ちがわかっていないわけではない。銀時も、○○も。
 それでも、銀時は神楽を突き放すことを選んだ。

「これでよかったのさ」

 銀時自身、親子の関係というものはよくわからない。
 それでもこうした方がいいと、銀時は思った。
 チャイムが鳴り、○○は玄関へと向かった。

「久しぶりだな、姉ちゃん」
「長谷川さん」

 片手を上げ、銜えタバコの長谷川が立っていた。
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