第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
「神楽ちゃんのお父さん?」
レストランの一席に、○○達は座っている。
大江戸信用金庫から神楽の手を引き、一人のおじさんが姿を現した。
写ったシルエットは彼のものだった。続いて出て来た銀時と新八。
四人を追いかけ、○○は彼等と合流した。
○○は目の前に座るバーコード頭を見つめる。
彼は神楽の父親だという。拙者拙者詐欺の件からでろでろえいりあんの件まで、○○はあらましを聞いた。
彼は星海坊主と名乗った。
「星海坊主ぅぅ!?」
新八は驚きの声を上げた。
○○も口を半開きにする。真選組に身を置いていた者ならば、その名は大抵の者が知っている。
宇宙を股にかける、えいりあんばすたー。一般人の中にも新八のようにその存在を知っている者も多い。
彼は神楽を連れ帰るために地球へとやって来た。
「神楽ちゃん、家出してたんだ。出稼ぎで地球に来たのかと思ってた」
○○はストロベリーアイスを頬張る。
その横では銀時と星海坊主が睨み合っている。
神楽は帰る気はないと言い張り、親子喧嘩はエスカレートする。
表へと飛び出した二人は、ビルや駅を破壊していった。
「よりによって、こんな所で……」
建物の破片や土が舞う。
二人を追いかけている○○は、惨状を目の当たりにする。
大都会江戸。どこに行っても人は多いが、中でも駅前は一番、人出の多い場所。
戦いに巻き込まれまいと逃げ惑う人々とすれ違う。
神楽の蹴りが父親の体を吹っ飛ばす。
「神楽ちゃん……」
強い。
神楽の強さはわかっているはずだ。だが、あれ程のものだっただろうか。
普段の神楽が手を抜いているわけではない。星海坊主が神楽の力を引き出している。
一瞬、星海坊主の姿が○○の視界から消えた。
気がついた時には神楽の背後に立っており、その瞬間に神楽の体は弾き飛ばされた。
直線上に親子連れの姿。このままでは、神楽は二人に直撃する。
「危な――」
駆けつけようとした○○よりも先に、並走して二人を追っていた銀時が神楽の体を押さえた。