第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『ええ。我輩も話に聞いていただけで、実際に見るのは初めてです。この景色を素敵な貴女様と共に見ることができて、我輩は幸福と感動で満たされております』
『んふふ..私も』
胸にほんのりと灯る心地よい温もりに笑みを溢すと、不意に繋がれていた手がギュッと強く握られる
『ねぇ、カボチャさん』
スカリー『なんですか?』
『今年のハロウィンは、楽しかった?』
ふと甘えるように肩に寄りかかりながら問うと、繋がれていた手がほどけ、代わりに肩を優しく抱き寄せられる
スカリー『勿論でございます。あのように騒がしく、彩りに満ちて、楽しいハロウィンは初めてです。煩雑なハロウィンなどありえないと思っていたはずなのに..今はここがとても温かく、激しく高揚しております』
胸の上を握りながらすっかり焼きついてしまった、町に響く音楽と明るい笑顔を思い出し口の端を上げる
『良かった....楽しんでくれて。ハロウィンが始まってからずっと心配だったの。カボチャさん、気に入ってくれるかな?もし、やっぱり静かな方がいいって思って、全然楽しめてなかったらどうしようって..』
スカリー『そんなにも我輩のことを考えてくださったのですか..なんとお優しい。
..いいえ。出会った時から貴女様はとても優しく、その身をもって我輩を導こうとして下さっていましたね。そんな貴女様の思いを、我輩は踏みにじってしまった...
本当に、申し訳ありませんでした』
頭上で紡がれた謝罪の言葉に首を横に振ると、は顔にその影を落としていく
『いいよ。酷いことも痛いこともされてないし。ちょっとビックリはしたけど..
..それに、ごめんなさいするのは私の方』
スカリー『え?』
『カボチャさんが悩んでることも苦しんでることも分かってたのに、何もしてあげられなかった。何かしようとしても捕まっちゃったし..結局、セベクたちが頑張ってくれたから、カボチャさんを止めることができたの。
だから..ごめんね』