第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
スカリー『何を、おっしゃるんですか..?たしかに我輩を止めたのはセベクさんたちですが、貴女様の言葉にも我輩は救われたのですよ?』
『ううん。私はなんにもしてない..なんにもできなかった。
いつもそう。どうにかしたいって、助けたいって思ってるけど..私話すの下手だし、戦うのも上手じゃない。そうしてると、いつの間にかみんなが代わりに頑張ってくれるの。私はそれを見ることしかできなくて、何もできないまま最後はいつも誰かの背中に隠れてる』
事あるごとに痛感させられる自分の無力さが、今回も胸を押しつぶすように重く伸し掛かる。不出来な自分も、そんな自分に優しくしてくれる周りの温かさが、嬉しくて愛おしくて、そして何よりも苦しみを与えていた
『でもみんなは優しいから、何も出来ない私を強く怒ったりしない。逆に"助けられた""ありがとう"って言ってくれる人もいる。
そんなこと、全然してないのに...
だから、カボチャさんもそんなこと言わなくていいよ』
自分に気を遣って思ってもない優しい言葉をかけないでほしい、という願いを込めた言葉が静かに紡がれる
しかし、その思いを聞き終えたスカリーは心の奥底からふつふつと湧き上がる激しい憤怒の感情に一瞬で取り込まれ、奥歯をギリッと噛むとを肩を強く掴んだ
スカリー『...くれよ』
『ぇ..?』
スカリー『そんな馬鹿な事、冗談でも言わないでくれよ!!!』
『!!』
突然声を荒らげるスカリーに一瞬トラウマが頭をよぎるが、先程までとあまりに違う物腰に怯えるどころではなかった
スカリー『何もしてない?何もできなかった?礼を言ってくれるのは気を遣ってくれたから?
そんな訳がない!みんな心の底から思ってるからそう言ったんだろ!少なくとも我輩はそうだった!!』