第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
『!カボチャさん』
ユウ『....君が?』
ぬっと現れたスカリーを栗色の瞳がジッと見上げる。それは、まだ許してはいない、また何かを企んでいるのかという疑念の眼差しだった
スカリー『疑いたくなる気持ちは分かりますが、ご心配には及びません。我輩にはもう、このハロウィンを拒む理由がありませんから。
それに..貴女様を一人にしないと、誓いましたでしょう?』
『!....んふふ』
その言葉に嬉しくなりクスクス笑うと、ユウはその笑顔に大きくため息をつくと、"分かったよ"と渋々了承することにした
ユウ『あまり長居しちゃだめだよ。何かあったらすぐに戻ってくること、いい?』
『ん!』
ユウ『良い子。じゃあ、のこと、頼んだよ』
スカリー『はい。お任せくださいませ』
の頭を軽く撫でると、向こうで起きているグリムの騒動を止めるために歩き出した。すれ違いざまに、ユウはスカリーへ言葉を残した
ユウ『あの子にもし手を出したら、今度こそぶん殴るからそのつもりで』
スカリー『(ゾクッ!)ああ、なんて恐ろしいお言葉。心にしかと留めておきましょう....
...約束はできませんが』
殺気の篭った言葉の贈り物に背筋を震え上がらせると、ニヤリとした笑みでユウを見送った
スカリー『さて..では参りましょうか。共に月の輝く丘へ』
『ん』
差し出された手を取ると、甲にキスが贈られそのままエスコートされて、2人は町の外へと繰り出した
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーー月の輝く丘
町を出て暫く進むと、一番月が近くに感じられるというスカリーのオススメである、あの先端が渦を巻いた特徴的な丘の上へと辿り着いた
その頂上で並んで座ると、視界に収まらないほどの巨大な満月が煌々と輝き、あまりの美しさに思わず息をするのを忘れるほどに見惚れた
『綺麗...』
スカリー『ええ。とても美しく、見事な満月でございますね』
眩しいほどの月明かりが呆然と心を奪われる2人を包み込み、そよぐ風は冷たいはずなのにどこか温かみを持って頬を撫でる
『こんな綺麗な月、私見たことなくて..最後にちゃんと見たかったの』