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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第13章 お決まりでしょうか◉共通ルート《後編》



びくともしない力に身を捩ると、片手でエンジンを切った爆豪くんが冷たい瞳で私を見つめ低く呟いた


「一応聞くがよ、キスしていいか」

「いいわけ、ないでしょ・・っ」

「そォかよ」

小さく舌打ちをした彼が私の頬と首筋に突然唇を這わせて、片方の手がセーターの裾に潜り込む
シートに押さえつけられる力は怖いほど強くて、後ろで掴まれた両手にじわりと彼の汗を感じた


「や・・っ!ばく、ごうくん・・!」

「油断してんじゃねェよ、クソ女」

耳朶を甘噛みされると漏れ出た声、軽蔑を込めた意地悪な声が耳元で響いた


「アイツにもこうされたンか」

「そ、そんなわけ・・!」

「ハッ、どうだかな」

息を吐いた彼は私の首に顔を埋めて、優しく舌を這わせる
震える唇を噛み締めて、ふるふると首を大きく振ると苦しそうな彼の浅い息遣いが聞こえた

「爆豪、くん、やめ、て・・っ」

「俺のモンになるなら、止めてやる」

いやらしく服の中を弄った指先が膨らみに触れる
器用な手付きでその細い紐が捉えられると震える口から漏れ出た嗚咽、頬を伝った雫に爆豪くんの手がぴたりと止まった




「・・・泣くほど嫌かよ」



「ごめ、なさ・・っ、」

噦り上げる自分の声だけが車内に響く
ゆらゆらと滲んだ視界で捉えた彼は私よりもずっと辛そうな顔をしていて、今までの自身の浅はかな行いの数々が頭をよぎった


「もういい、行けよ」

冷たい温度の声が私の鼓膜を揺らして
俯いて手渡されたのは電源が切れたままの端末
ごめんなさい、消え入りそうな言葉は彼の耳に届いただろうか



駆け出した私の頬を夜の風が撫でる
火照った身体を冷やしていくそれは涙の跡を特別に冷たくして、私はそれを打ち消すようにごしごしと顔を擦った




「・・俺がこうでもしねェと終わんねェだろうが」

苛立った呟きは車内の静寂へと消える
温もりの残るシートに触れると容易に高鳴った鼓動、決してそれを許さないように彼は大きな舌打ちをした
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