第2章 お出かけ
ずさっ…
後ずさる白雪に対し
男は牢屋の鍵を開けて、中へ入ってきた。
「そんなら声くらいかけろよな。
そっちの美人さんもさ。」
「........」
白雪とあかねは黙ったまま男の方を見続けた。
「俺は巳早
ふもとで挨拶したの覚えてる?」
「挨拶なんて、かわいいものだったかしら?」
「私とあかねさんに…何か用?」
2人は立ち上がり
男と距離をとりながら会話を続けた。
「じゃなきゃ
声はかけねーな」
男は白雪の前に歩みを進め
「あんたさ
一国の王子でさえ
手に入れられなかった品って
どう思う?」
「は?」
「どこに献上しても
山ほど褒美が貰えそうだよね」
「あなた、何言って…」
「…たとえば
生まれながら
宝石で飾られたよーな
赤髪の娘……とかね」
「ーー…!!」
巳早は、白雪をじっと見て続けた。
「実際驚いたよ俺もー…
あんたを見てさ」
「私を…どこかに売ろうって話?」
白雪は1歩1歩と後ろずさるも、巳早も1歩1歩距離を詰める。
「物騒だな
献上だって、献上
金持ちの物好きは
腐るほどいるんだぜ」
(どっちが物騒?!)
白雪は内心叫んだ。
「んで。
こっちの美人さんは、ひとまず俺のものにしたいなって思ったわけ。
俺が飽きたら
同じように献上する先は
いくらでもありそうだし」
「ふーん…」
急に話を振られたあかねは、ひとまず巳早の動向を探るため、ひとまず様子を見ることにした。