第10章 return
それをキャッチし、ランは目を輝かせる。
「やったー!さっすが圭介!
これ美味しいんだよね〜♡どこの店のなの?」
「教えねえ」
場地は昔からいつもラン用のどら焼きを常備している。
しかしランがいくらこの美味しいどら焼きの店を聞いても教えてはくれない。
まぁいつもここ来れば食べさせてもらえるし、いっか♪とランは思っている。
「んー!やっぱ美味し〜!
じゃーこっちのどら焼きは圭介にあげるね。
最近ブームの生どら焼きだよ」
「…なんだよ生どら焼きって…」
そう言いつつも2人してどら焼きを食べる。
「……で?用はなんだ。」
「用?用がなくちゃ来ちゃいけないの?」
「や、そーゆーことじゃねーけど…
…うん?美味いなこれ?」
「でしょでしょ!!」
嬉しそうに顔を覗き込んでくるランに、思わずフッと頬を緩めてしまった。
「かわいいなお前は」
「へ?なんか言った?」
「いや……」
場地は鼻で笑ってティッシュで口元を拭いた。