第34章 因果※閲覧注意
「……いいよ、椚馬」
「…は?」
「殺したいんだろ、俺の事。
憎いんだろ。たくさん苦しんだんだろ?
いいよ。俺を殺して」
「………ッ!クズが!!」
「ぐッ…ぁ!!」
椚馬がバットを、俺の膝下目掛けて思い切り振りかぶった。
「お、いい音で折れた。これでもう、お前は逃げられない」
「っ、ぁ、…!」
「念の為腕もやっとくか」
「ッ!あ゛ぁッ!!」
バキッと生々しい音が骨を伝わって脳に伝わる。
痛みで、息が詰まる。
「さてと。じゃあ、やろうか」
床に置かれたポリタンクの蓋をあけ、中身を辺りに撒き散らす。
中身がなにかなんて聞かなくてもわかる。
「お前は簡単には死なせない。炎の中でジワジワと迫り来る恐怖に怯えながら死ね」
椚馬は、椅子に括られた俺の周り半径3m程あけてぐるっと囲むようにオイルを撒いた後、自分の退路だけは残して辺りに満遍なく撒き散らした。
この廃墟を焼き尽くすには十分すぎる量だ。
椚馬が手にしたマッチ棒に火をつけ、オイルに落とせば炎が勢いよく燃え上がった。
「じゃあな、伝説の男・皇帝。ここでお前は終わりだ」
「……………」
メラメラと炎が揺れる。
その向こう側で、ニヤリと口の端を上げて満足げな椚馬は、その場を去っていった。
ああ、ダメだ、手も足も折れて力が入らない。
終わったんだな、俺。
仕方ないよな。
沢山殺しちゃったもんな。
「…はは、皮肉だな」
もういいや。おしまいだ。
「あーあ!凛に好きって言えなかったなぁ…」
凛に生きろって言ったくせに、自分が先に逝くなんて。
「ごめんな…………」
お前は、もう一人で生きていけるから
涙の筋が、頬を伝う
「!!!!!」
「…………え?」