第34章 因果※閲覧注意
「目が覚めましたか?話の続き、いいですかね。
俺、母親が大好きだったんです」
目が覚めた瞬間、鉄製のバットを握った椚馬がそう語りかけた。
体がロープで椅子に固定されている。こんな事、前にもあったな。
「ここ、どこか分かりますか?」
周囲をぐるりと見回すと、黒く朽ち汚れた廃墟のような場所にいた。まるで、ここで過去に火災があったかのような。
否、あったのだ。このコンクリートで覆われた無機質な場所は、俺が燃やした場所だ。
「……お前」
「俺は死ぬほど探し回った。母親は誰が壊したのか。父親はどこで、誰に殺されたか」
「…………」
「。本当は俺も未成年のうちに殺したかったな。でもまあいい。
やっと殺せる」
そうか。この世界は。
憎しみの連鎖なのだ。
「……作り物みたいに綺麗な顔しちゃってさ、体も小さいし。未だに信じられないな。こいつが…ねぇ……」
カツカツと、靴の音を立てながらこちらに歩み寄る。
「ねえ、総長。俺の親父は、この工場でどんな風に死んだんですか?痛がってましたか?苦しんでましたか?
最後に…何か、言ってませんでしたか」
その瞳に、悲しみの影が落ちたように見えた。
そっか。
お前も、俺と同じなんだ。