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Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




静かなカフェに入り、レティシアはステラの隣にその向かいにユリスとエドゥアルが腰を落ち着け、ジルヴァはレティシアの膝の上に乗った



ユリス
「早速、良いですか?」

ステラ
「あ、はい。私でお答え出来る事でしたら」

ユリス
「手をあげているのは誰ですか?」


その問いにステラはスカートをきゅっと握る


ステラ
「…奥様です」

エドゥアル
「あの人が?…人は見かけによらないな…」


フォンテーヌ家や他二家は誰でも知っている大貴族だ。
勿論、両親の顔は国民が知っていて当然のもの…だからこそ、とても優しく美しいそれしか知らなかった為、エドゥアルは小さく呟いた


ユリス
「いつから手をあげるようになりました?」

ステラ
「3歳の時、お嬢様が手を振って花瓶が割れたんです。それで、魔法が使えるのだと分かり旦那様と奥様は、レティシアお嬢様の育児を放棄し私たち使用人にお世話を命じました。ですが、パーティーにはお嬢様も連れて行っておりました」

ユリス
「怪しまれるから、か」

ステラ
「はい。お嬢様を避ける様になって初めてのパーティーから帰ってきた日…私がシーツを替えようと廊下を歩いていると、お嬢様が座り込んでいました。…お嬢様は何でもないと仰っておりましたが、頬が腫れておりましたので…きっとあの日初めて手をあげられたのだと」

ユリス
「…貴女は?怖くなかったんですか、そいつの事」


ステラはユリスから投げられた言葉に1度視線を落としてから、またユリスへ戻す


ステラ
「恥ずかしながら…私も最初は怖かったです。でも、あの日…手をあげられた日、奥様に頬を張られて絶対に傷付いたはずなのに何でもないと告げるお嬢様が…怖いわけが無いと、反省しました…」

レティシア
「ステラ…」


気が付けばステラの目からは涙が溢れていて、それに気が付いたレティシアはスカートを握る彼女の手に幼い手を重ねた



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