第8章 大切で残酷な暖かい過去
エドゥアル
「おいおい…こんな小さい子にまで手を出し始めたのか…?」
少女と小型魔獣を連れ帰った翌日、連絡をもらったエドゥアルはレティシアを見るなりそう声をあげた
ユリス
「そんな訳ないだろ」
エドゥアル
「冗談さ」
ユリス
「笑えねぇ冗談だな」
エドゥアル
「放っておいてくれ。…で?どうしたんだよ、この子」
エドゥアルはソファですやすやとジルヴァを抱いて眠る少女を見ながらユリスに問い掛ける
ユリス
「家に帰る途中の公園で拾ったんだ」
エドゥアル
「言い方気を付けなよ…。にしても、お前が家に帰る途中って事は夜中じゃないの?」
ユリス
「そ。…裸足で、目が腫れてて唇も切れてたし痣も酷かった」
エドゥアル
「え…?それって」
ユリス
「帰りたくないって言ってたし、虐待だろうな。多分、日常的に受けてた筈だ。下唇に何度も噛んだ痕があった」
エドゥアルはユリスから語られる話に思わずソファで眠るレティシアを見る
ユリス
「今は見える所しか治してねぇけど…きっと服の中も痣だらけだろうな。…これも予想だが、こいつは魔法が使える」
エドゥアル
「え?」
ユリス
「俺が魔法で痣を治してやった時、叩かれるかって聞いてきたんだ」
エドゥアル
「成程…。この子が魔法を使えて、親が嫌ったんだね」
ユリス
「良くある事だし、寧ろそっちの方が多いからな」
ユリスとエドゥアルは幸いな事に両親から魔法が使えるからと手をあげられた事は1度もなかった。
エドゥアル
「けど…だったらどうして、この子の両親はゼフィランサスに預けなかったんだろう」
ユリス
「まぁ…こいつの名前を聞いたら分かると思うぞ」
全てユリスの予想。
だが、彼にはその全てが見えているかの様に話し、それがいつも合っている為エドゥアルは少女が目覚めるのを待つ事にした