第8章 大切で残酷な暖かい過去
─コンコン
2人が笑っていると部屋をノックする音が響き、ステラは慌てて扉を開ける。
するとそこにはクラリスが立っていた
ステラ
「クラリスお嬢様…どうされたんですか?」
クラリス
「これ…ねさま、あげて」
ステラ
「分かりましたが…クラリスお嬢様がお渡しになりませんか?」
クラリス
「いいの…?」
ワンピースの裾をきゅっと握りながらモジモジするクラリスを見ながらステラが優しく提案すると、クラリスは嬉しそうに笑みを浮かべる。
クラリスは大好きな姉の元に行けるのが嬉しくて大きく頷いて見せた
クラリスが部屋に入るとレティシアは驚いた様に目を丸くするも、すぐ嬉しそうに目を細める
クラリス
「これ、ねさまに」
レティシア
「ありがとう、クラリス」
クラリスがレティシアに渡した絵は大きな丸の中に小さな丸が3つと髪の毛の様な物が描かれた紙だったが、レティシアはそれがすぐに自分とクラリスだと分かり嬉しそうに微笑む。
そんな2人を見てステラは、先程自分が貰った物を思い出して2人が姉妹である事を実感する
だが、その日の夜─
レティシア
「……っ、…ごめん、なさ…っ…!」
母
「本当に嫌な子ね」
レティシア
「ぅ……っ、ぁ……!」
母
「貴女は魔法が使えて危ないんだから!もしも、クラリスに何かあったらどうするのよ!」
昼間クラリスがレティシアの部屋に居た事が母にバレ、レティシアは頬をぶたれ腕を強く掴まれ…幼子にしてはならない行為を母は繰り返していた
以前、涙を流して怒られたのを覚えていたレティシアは下唇を強く噛み堪える
ステラ
「……っ……お止め下さい、奥様!」
母
「何なのよ!」
食事を取りに部屋を離れていたステラは戻ってくるなり酷い光景を目にして、テーブルに食事トレーを置き慌ててレティシアを抱き締めて母から守る