第8章 大切で残酷な暖かい過去
【レティシア·ロベール】
[フォンテーヌ家、シュヴァリエ家、ガルニエ家]
この三家は、貴族の中の貴族として大きな力を持っている"貴族三大勢力"と呼ばれる存在。
貴族であっても頭が上がらないこの三家は、とてつもない財力や権力を所有している
その三家の中の1つであるフォンテーヌ家に、両親譲りの綺麗な金の髪に紫色の瞳を持った女の子が産まれた。
母
「あぁ…本当に可愛いわ、レティシア」
父
「本当。…目元なんて君にそっくりだ」
母
「ふふ、そうかしら。…でも、口元は貴方にそっくりよ?」
父
「はは、私達は既に親バカだな」
母
「仕方ないわ。…だって、レティシアはこんなにも天使のようだもの」
レティシアは三家の中で1番の力を持っているフォンテーヌ家の長女として、両親から沢山の愛情を注がれた
母
「まぁ、流石は私達の子だわ」
父
「嗚呼、良く似合う」
レティシアが1歳の頃、幼い少女にはとても似合っているとは言い難い高価なネックレスが首に掛けられた。
そのネックレスは代々フォンテーヌ家の女性に受け継がれてきた物だ
母
「ほら、こっちよ」
レティシア
「かしゃ…っ」
母
「そうよぉ…まぁ、上手!ほら、今度はお父様の所に行ってごらんなさい?」
父
「おいで、レティシア」
レティシア
「ぁ…、としゃ…ま」
覚束無い脚取りで両親の間を言葉を発しながら行ったり来たりする我が子の姿は愛しい以外の何でもなかった。
そして、レティシアがネックレスを受け継いだ年に彼女には妹が産まれた。
両親は2人を大事に大事に育て、偏りの無い愛を注ぎ続けたものの…レティシアが3歳の時それは偏り始める