• テキストサイズ

Smile Bouquet

第8章 大切で残酷な暖かい過去




メディに誘われて補佐官になったユリスとエドゥアルは、18歳にして既に5年もゼフィランサスで働き、その確かな腕に信頼する者も多くなっていた。


自分よりも遥かに年下のユリスに指示をされるのを、所属した当時は嫌がっていた者も気が付けば彼の部下としてちゃんと働いている。
…だからと言って彼に良い感情を持っていない者が居なくなったのかと問われれば、それはNOだ。


ただ、優秀でメディに気に入られているのも事実なため逆らう様な事はしない



そして、18といえば本来であれば守護官を目指す者がルビーやアクアマリンに入ってくる歳だ。






そんな18歳のある日、先程まで共に居た女性と別れたユリスは煙草を咥えモッズコートのポケットに手を突っ込みながら帰宅する為に夜道を歩いていた




─キィ、キィ…




公園の前を通るとブランコが小さく揺れる様な音が聞こえてユリスは何となく、小さな灯りしかない公園へ目を向ける。
するとそこには幼い少女が1人ぽつんと、地面に脚をつけたままブランコを揺らしていた
そして、その近くには小型魔獣も居た。



思わずユリスは手首に嵌めていた円盤を見る。
その針はてっぺんに到達しようとしている時間である事を再認識した後、辺りを見ても親の姿はない。



ユリス
「はぁ…」



溜息の理由は幼馴染エドゥアルの存在。
この場にエドゥアルが居たら五月蝿いし、絶対に声を掛けている。
ここで声を掛けなくても、ユリスの脳内でエドゥアルは文句を言う。



エドゥアル
『こらこら、あんなに小さな子がこんなに遅い時間に1人で公園に居るなんておかしいだろ。連れ去られでもしたらどうするんだ』



ユリス
「はぁ…」


それを想像したユリスは再び溜息を吐き出す。
ポケットから手を出し煙草を魔法で消すと重い脚取りで公園へ入っていく




/ 398ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp