第15章 予感と奇跡
「…葵クン、また君ですか。うるさいですね、まるで蝿のようです」
「仕方ないでしょ、馬鹿な同じ道場出身の!同期の門下生が!殺人に管槍使ってんだからっ!!見過ごせないでしょう!?」
カンッカカンカン!!!
葵がスピード重視でグイグイと氷月を押す。パワーだと負けるので、素早く連撃を繰り返す。
「氷月が努力家なのは知ってたよ!!朝練も早いし居残りばっかしてたもんね!!」
もちろん、セリフで千空達ーー
科学と力の奇跡のタッグの口上会議を聞かれないようにする。氷月は自分一人では勝てる相手では無い。
ーーだがあの二人のタッグのサポートをすれば。もしかしたら。
「はぁ、君は本当に無駄口が多「うるさい!!
お師匠様に謝れ!尾張貫流槍術の500年の歴史に謝れ!!お前はこの程度の巫山戯た事に力を使う人間か!?私は許さないからな…っ」
カンッ!!
……葵の管槍が、弾き飛ばされる。
「ツッ……!!」「…気が変わりました。あの二人は武器がありませんが、君はありますし…
……目障りなんですよ、昔からずっと。
僕より優れた遺伝子を持ちながら、歌などという巫山戯た理由で鍛錬を辞めるなど!!!」
そう氷月が今までに葵に対して感じていた劣等感を叫び、管槍を振り上げる。
が、口上会議が終わった司が助けに来た。
ガキィィンッ!!!
葵目掛けて下ろしかけた氷月の管槍を、弾き返す。
「…葵、ありがとう」
「司君!こちらこそ!」
何とか作戦会議の時間稼ぎは出来た様だ。葵がニッと笑って、弾かれて落ちた管槍を再度手に取る。
その間に千空がザザザザ……と移動して叫ぶ。
「11時!!」
「「!!」」
司がバッ、と移動するのを防ごうとする氷月を、リーチの長い葵が管槍の先でガンッ!と防ぐ。直ぐ様彼女も大きく地面を蹴って後退する。
……氷月の足元で、突然発生した乱舞する炎。
だが、マントを外して管槍で炎を風で飛ばす。
「化けモンか、テメー…!!」
「氷月はいつもバケモノだよ」
特に驚かずにいる葵。付き合いが長いと言うだけはある。