第15章 予感と奇跡
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「いーー爆発!?なんでなん……!?」
爆発の様子を見ようと、司が立ち去ろうとする。
その瞬間を狙いーー
ギュルォオオオオ!!!
「「!!?」」
突然未来に管槍が迫りーー
カンッッ!!!!
間一髪の所を葵の管槍が遮る。
「…また君ですか」氷月の冷えた眼差しが、葵の目を射抜く。
「そうだよ。本っ当、氷月はロクな事考えないんだから…っ!」
「邪魔です」カンッ!と管槍で葵の身体を殴りつけ、川へ突き落とす。
「……ッ!司!逃げて!!」
落下しながら叫ぶ。落下する葵に慌てて手を伸ばした未来をーーー
氷月の管槍が、狙っていた。
「葵!!!」羽京が川に落ちて行く葵の名を叫ぶ。
ーー止めてくれ!!止めて、くれ……!!
「二人ともソイツから離れろ!!」千空が叫ぶが、時既に遅し。
ーー司の胸を、氷月の管槍が貫いていた。
「……霊長類最強の高校生を消す事は不可能でした。司クン、君に護る者さえ居なければね」
そう言ってにっこりと笑い、氷月がマスクの下を見せた。
ーー禍々しい、まるで魔法陣か何かの様な、独特なヒビの文様。
落ちかけた司の手を千空が握るが、氷月が二人を川に突き落とす。
ーーそして氷月自らも、川に飛び込んだ。
「兄さん……!!」
未来の悲鳴が響いた。
「くっ……!!探そう!みんな…!!」
羽京の一声で、一同揃って川下を探しに行く。
ーーどうか、無事で居てくれ…!!
また君の『生きてる』姿が見たいんだ…
お願いだ……!!
羽京は心の中で叫んだ。
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「司クンは胸を貫きました。致命傷です、助かりませんよ」
そう淡々と、川下で辿り着いた場所で、ビショ濡れのまま氷月が言う。
「邪魔な司クンを始末した後でーーー
千空クン、君と二人きりで話がしたかった」
「ほーん?こちとら話すこたァ1mmもねぇなあ」
千空は余裕ぶった振りをするが、正直内心では冷や汗だった。
がーーーーー
氷月の背後の茂みに、少し見える槍先。キラリと光るそれが、僅かに揺れては、手がヒョイッと出てきて、グッと親指を突き立てて大丈夫!とサインを送る。
あー、先に落ちてた葵だな。
川の流れが同じだから、氷月や俺らよりも先に辿り着いていたのか。