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僕と彼女の共同戦線

第14章 おかえり、未来


……ちゃんとお礼くらいは言わないとね。彼女はいつも僕の事を考えて動いてくれるから。はいどうぞ~とクッキーを司に渡す葵に、羽京は早足で近付いた。

「?羽京君もクッキー食べます?」「あはは、違うけど…貰おうかな。」
1枚手渡されたクッキーを見ながら、問いかけた。
少し、自意識過剰かも知れないと思いつつ。

「…葵。もしかしてだけど…さっきの回答、僕の為だったりする?」
「?いえ、私個人の見解です。……でも、羽京君がそう言うなら。羽京君の中の理想と、私の理想が一緒なんでしょうね」
そう言ってニッコリと葵が笑う。

「……そっか。そうなんだろうね」
予想とは違う。けど、むしろいい意味で裏切る回答。

示し合わせなくても、目指す世界が同じ。
そう和む空気の中。ひとつの問題が発生した。

「ククク…羽京テメー、自分の嫁の話になると、本性ガッツリ出るんだな!いつもは掴めねえ雰囲気出してんのに。要するに嫁バカだな!?」
千空が突然茶化す。
「えっっ」思わず赤面する羽京。

「えっ、何それ!待って待って!?
【世界唯一の幻の顔無き歌姫と海自史上最強の地獄耳ソナーマン羽京君が結婚】!?いいわね、それ超特大スクープじゃない!これは話題になるわよ!取材しなくちゃ!!」

前方を歩いていた、北東西 南が身を乗り出す。彼女は司が復活させた、復活者の人材選定役だ。記者の性なのか、記事になりそうなタイトルまで打ち出している。手元には、科学王国製の紙があった。

科学王国はエンタメの類いを復活させる予定だ。
南も新聞記事を紙で書ける様になったのだ。記者としては嬉しい限りだろう。気持ちは分かるが……

「あはは、そんなに大袈裟にしなくても…」羽京は苦笑いした。
「あーうん、羽京ちゃん…この流れは多分スルーできないやつよ~」ゲンが同じく苦笑いする。
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