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僕と彼女の共同戦線

第13章 積み重ねた物


******

「はは、やっぱり『前よりは』強くなったね、氷月!?」
再戦出来て嬉しいよ、と笑いながら戦う葵。

「…お遊びの君とは違いますから」

カキインッ!!!
同じ形状の槍がかち合う。……パワーでは勝てない。

葵が衝撃を受けないよう、瞬時に槍を動かし力を流す。……やはり、長年やってきた人間と、
幼少期の天才では積み重ねた物が違う。自分より身長も大きいしリーチも長い。パワーもある。

私にあるなら、せいぜいーー人より小賢しい、その『頭脳』位か。自分に無いものより、有るものを武器にしろ。ーーそれに、氷月と違って私は一人じゃない。葵は己を鼓舞した。

かち合った管槍の勢いを殺して一旦引こうする葵を力を込めてそうはしまいと押し切ろうとする氷月に対し、明後日の方角へと「コハク!」と叫ぶ。
僅かに氷月のそれた瞬間を狙い、上手く攻撃を躱し、今度はコハクの刃が氷月の管槍とかち合った。
叫んだ方角とは違う角度だ。

「ハ!チーム戦なら、時間稼ぎも容易だな…!」
「小汚い真似を…」

その瞬間に、ジャッ、と大きく後退する。今度は羽京の弓が氷月の方へ飛ぶ。

ビュンッ ビュッビュッヅ!!!

「…ッ」「流石に私たちは現代で飛び道具を躱す様な鍛錬は積んでないからね!」葵が笑う。管槍をやってたからこその戦略。

羽京が角度を変えて何度も弓を射る。それらを避けている間に、コハクも体勢を整えて氷月の管槍とかち合った日本刀を手に、アクロバティックな動きで回避する。
……主に体術面がとても優れている。頼もしい共闘相手だ。葵はニヤリと笑った。

大きく踏み込んで、管槍を回転させる。コハクと連携を取り、交互に相手をする形だ。体力差やパワーの差を埋める為の戦術である。
そして時折羽京の援護で間合いを保つ。

ーーそうして長期戦の末、コハクが氷月の槍を掴んだ。
「ハ!これを狙ってたのだ!!氷月、貴様は管槍とやらを失えば無力化する!」
「スペア!」
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