第13章 積み重ねた物
「ひい…っ!」
「僕のお嫁さんに手出しはさせないよ」
にっこりと羽京が微笑む。
「羽京!しかし葵、だったか!?貴様軍師だろう!戦えたのか!?」コハクが問いかけると、へへーと葵が笑う。
「昔やってたからね~管槍!ストーンワールドでも自主的に鍛錬してたけど、やっぱり一人より……」
周りの味方を見回す。
「……こういうのは大勢でやらなくっちゃね!!」
ウォオオオオオオッッツ!!!俺らも続くぞ!!!
葵の声に、科学王国の兵士達が再度立ち上がり彼女を先頭に続く。葵をトレードマークにして集った様なものである元司帝国の兵士達も、この勢いに続こうと司達に立ち向かった。
司には金狼・銀狼・マグマが3人がかりだ。
(思ったよりちゃんとしていますね。まあ司クンなら…)
戦況を見ていた氷月に、ガシィン!!と鉄の一閃が煌めく。
「邪魔はさせん!氷月、貴様の相手はこの私だ!
リベンジマッチと行こうじゃないか!!」
コハクが日本刀を構えて氷月の前に立ち塞がった。
「リベンジ!いいねそれ、私も乗った!!」
「葵!!」
コハクが思わぬ加勢に喜びの声を上げる。
「まあリベンジするのは私じゃなくて、氷月の方だけどね。同じ道場で一緒に管槍使ってたけどーー
ーー私、氷月に負けた事、一度も無いから」
そう言ってスッと槍を構える。
「……昔の話ですよ」
氷月がギラリとした冷徹な視線を葵に向ける。
ビュンッ!!!
氷月の管槍に、1本の矢が刺さった。
「あはは。本当に仕方のない子だね、葵は」
「羽京!!!」コハクがこれまた歓喜の声を上げる。これで遠距離攻撃も出来る。
近距離型で体術に長けたコハク、
中距離型で知能と技に長けた葵、
そして遠距離型で非常に精度が高く俊敏な羽京。
それぞれタイプの違う三人が揃った。
「…ハ!これでこちらも司と同じ、3対1といったところか!!」
「そうだね。行こうか、コハクちゃん」葵が笑う。
「援護射撃なら任せて」羽京も木の上から弓を構えた。
「…相も変わらず、脳の溶けた連中ですね」
氷月が呟き、管槍に刺さった矢を引き抜いた。