第13章 積み重ねた物
「あはは、良かった…!」
そう言いながら、羽京は葵に笑いかけるがーー
「ねえ、首の所…「あっ」
羽京が見ていたのは、少し氷月の管槍がくい込んだ所だった。
「ごめん、墓で時間稼ぎしてたから…」
「司達にやられたんでしょ?君には怒ってないけど……
でも、最初に血を流すのが君なのは許せないかな」そう言うと、羽京は立ち上がった。
「僕は戦闘の補佐に回るよ。君は?」
きっと科学チーム側に行くんだろうな、そう思いつつ葵に聞く。
「私は加勢に行きます!」
「え」
羽京の動きが固まる。
君武闘派じゃないよね?しかも補佐ですらなく加勢ってどういう事!?
ドゥ!!と何処にまだそんな体力があったのか分からない位の勢いで駆けて行く彼女。
それを見ながら羽京はぽつんと呟いた。
「……あはは、やっぱり後でお説教かな」
******
「すげーー!!司&氷月のタッグ!!」
「続けーーー!!」
そう言って司帝国サイドの人達が攻め込む。
「続いちゃ駄目ですね~」
突如、戦場にどう見ても戦闘員じゃない人物のゆるすぎる声。
葵が現れると、手袋をはめて羽織っていたポンチョをバッと脱ぐ。バラバラと血糊袋が落ちた。
「えっアオさん!?」
「確かこの辺に仕込んであったはずなんだよね~」
勝手にガサゴソと森の中を弄るとーー
「テッテレーーー!!懐かしのくだやり~!!!」
某有名猫型ロボットの秘密道具のように、氷月と全く同じ武器……管槍を出す。
「「「「「「えっ……」」」」」」
その場にいた両国の兵士たち全員が目を見開き、動きを止める。
その隙を逃さず、葵がそのまま管槍を持つと、ギュルルルル!!!と竹筒を支点に、てこの要領で回し敵兵達に襲いかかった。
「うおっ!!」「ヒェッ!!」
司帝国の武器を一斉に落とす。
「う、ウソだろおい……!!」「管槍使えるやつ敵にしたら……!!」「氷月みてえ…!!」「クッソ戦いづれえ……」「味方ならいいのに…!!」
「えへへ~私は『ただの』軍師じゃないからね。
ーーで??司君達に続くの?続かないの?」
どっち?と笑顔で問う葵。
「…っ!別に女一人になんか
ヒュンッ!!!
トス、と葵に叫んだ男性の顔をかする様に矢が打たれる。