• テキストサイズ

僕と彼女の共同戦線

第10章 優しい理想家


「…狂気だ……君達はこの状況でまだなお世界、全人類を救おうとしてる…!!科学の力で…!!!」

「……それで?司先生にでもチクッか?」
「……いや。
千空、僕は、君たちに協力してもいいと思ってる
ーー条件次第ではね」
その言葉に、メンタリスト・ゲンが身を乗り出す。
「駆け引きね~、ならメンタリストの「結論から言え、なんだその条件っつうのは」

「…………」あまりの即答に流石の羽京も黙り込む。千空は…何と言うか、駆け引きをあまりしないし本当に直球だなあ…。苦笑いするしかない。

千空の後ろでは取引で一番やっちゃいけないやつーー!!とゲンが泣いている。

「僕の条件はたった一つ。

ーー誰も死なないこと」
それは、あまりに過酷で、綺麗過ぎる条件。

「ククク…イマイチ腹が読み切れねーな、羽京。
単純にお優しい理想家か?それともー」
「理想家?…どころか僕は、一番の『卑怯者』だよ。

復活者同士の殺し合いは避けたいーーその為に司の石像破壊も許容した。『石像は現状ただのモノだ』
なんて、吹けば飛ぶような理論武装でね」
そこでふう、と一息つき、再度マイクに向き直る。

「……救いがたい程卑怯なのは分かってる。でも僕はただ……




目の前の誰にも、死んでほしくないだけなんだ」
元自衛官時代の頃の記憶。災害救助の光景。
泣き叫ぶ人達。ぼろぼろの街と、
生命が喪われていく音ーーーー


出来ることなら。もうそんな音は、聞きたく無い。

「こんな世界で!それが人としての!!最後の砦じゃ無いのか…!?
…犠牲者ゼロを約束してくれるなら、君たちに協力する。だけどもし1人でも殺したら、その時は
「面白ぇ!!!乗ってやる!!!」
速攻で返事が返ってくる。
ーーなんて力強い声なんだろう。

「ありがとうーー」
無血開城。それならーー

葵の血も、流れない。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp