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僕と彼女の共同戦線

第10章 優しい理想家


ーーレコードを流していた墓場に、1人の影が降り立った。全体的に黄色で統一された服に、帽子を被った青年。

「…あはは、楽しそうだね」
「…ッッ!!!」ニッキーが急いで振り向くとそこには。

ーー今回の作戦の最大の脅威、羽京が居た。

「聞かせて欲しいな、その電話。僕にも。」
不味い。羽京の耳だけは、誤魔化せない。ニッキーが冷や汗をかく。

「ヒィエエエエバイヤーー!!」電話のマイクを離してゲンが小声で叫ぶ。

「仕方ねえ!このまま行け!」
千空の叫びに、うえ~と言いつつゲンがマイクに向き直る。

「ガチファンニッキー先生と葵ちゃんに100点貰った俺のモノマネと羽京ちゃんの聴力で勝負…!!!!」


「Who are you?
I’m Lillian Weinberg!!!」
(どちら様ですか?こちらはリリアン・ワインバーグです!!!)

羽京が少し、沈黙する。そして口をまた開いた。
「…凄いね、本当にリリアンだ。普通なら僕の負けだったかもしれないーー




However, there is no vibration of the voice
(でもーーーー人間が熱唱した直後の)
after singing enthusiastically
(微妙な声の揺らぎが無い)

which is hard for you to imitate.
(そこは歌えない人には再現不可能かもね)

ーーゲン」

「アアアアアアやっぱし無理だった!!



……ってちょーっと待って?何で今羽京ちゃん、わざわざ英語で言ったの?出来れば周りの連中に聞かれたく無かったからだよね…?」

そして思い浮かぶ羽京の妙な行動ーー
「ククク…よーく見てんじゃねえかメンタリスト!
ゲンVS羽京は一勝一敗ってトコか!」

千空がゲンから電話を変わる。
「クロムに電池を差し入れたのはーー葵じゃねえ、手前だろ?羽京」
「あはは、流石に早いね。飲み込みが」


「僕は君の味方じゃない。勘違いしないで欲しい」
「あーそれは知ってる。本当は誰の味方かもな。で?話はなんだ?」
「…僕は君たちがどういう人間か、話を聞きたいんだ」

ーー羽京の脳裏に、杠が石像の破片を組み立てる姿が浮かんだ。そして、隣で一緒になって持ってきた石片を必死にくっ付けているーー葵の姿。
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