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僕と彼女の共同戦線

第5章 二人の天才


「ファンじゃない残り2割も、不平不満は持ってるよ。私がそういう愚痴担当の窓口やってるからね」葵が補足する。

「えええええ参謀…ってそれ元々は俺の役目じゃない!?ってか有能ゴイスーーー!!」思わずゲンが叫ぶ。

「アンタ…まさか目安箱やってたのって」ニッキーが口を挟んだ。

「……目安箱、って銘打ったただの愚痴を聞く人かな?話しづらい上司より、相談しやすい中間管理職の方が親近感湧くし引き抜きもしやすいでしょ?」

「えぇ…めちゃくちゃ有能過ぎ………しかも野心ギラギラの裏切る気マンマンのドイヒーでゴイスーな軍師……」
ゲンが呟くと、お前も裏切っただろ、と千空のツッコミが入る。

「いやまあ先祖軍師なんで~」そういう計略の類いは叩き込まれてるんです、とニッコリと笑ってみせる。後ろで杠達がおぅふ……と震えているが、どうせバラす算段なのだ。これでいいだろう。

「内部事情は大分詳しいよ。司君、氷月、羽京君の3トップしか私が『軍師』とは知らない」

「ほーん、ガチの側近じゃねえか。しかも人材どころか情報も出すってか…!出血大サービスじゃねえか、天才軍師サマ」

「…私は元から司帝国に反対派の人間だったから。司君の石像破壊も、来て2週間位の時だったかな…私が止めたし」

「!?そうなのかい…!?」ニッキーが驚く。

「あと杠ちゃんの極秘のミッションもまるっと知ってるし、石片集めたり引っ付けたり手伝ってたー」
「あはは、その節はお世話になりました…!」杠がお礼を言う。

「杠のミッションまで手ぇ出してたのか。ククク……!!!
よし、お前の言う通り、電話越しじゃねえ本物の歌、聞かせてやるよ。」
先程までの単刀直入でぶっきらぼうな口調が、少し穏やかになる。

【友達だもんな。もう一度、会わせてやるよ】
……少なくとも、葵には、そう聴こえた。

「まあ寝返りやすそうな子達から順に当たるよ。リスト作ってあるし」

「味方にすると心強いけど絶対敵にはまわしたくないタイプだね、アンタ……」とニッキーが呆れている。
それほどでも~!!と言ってのけるのがある意味彼女の芯の強さを物語っている。

「てか羽京は知ってんのかい?アンタのその…」
「……??知ってるよ」

「え?なんでそこで羽京ちゃん出てくんの??」とゲンが疑問の声を漏らしているが、二人ともスルーしている。
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