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僕と彼女の声帯心理戦争

第7章 【第2章】謀略の議会


「うん。……氷月。彼女を居室まで案内して貰えないかい?」
氷月の発言は聞いていない、と判断したのだろう。司の指示に、分かりました。と氷月が頷いた。

葵が覚束無い足取りで、氷月の後を追う。去り際にチラリと羽京達の方を見るとーー


ふふ、と何処か悲しげな笑みを見せた。


司が俯く。
「うん。…確かに彼女のカリスマ性は高い。かと言って、彼女が直ぐに驚異になるとも思えない。先程の様子も、俺には演技のようには見えなかった。羽京。君は誰が監視役に一番いいと思う?」

「そうだね……」
正直に言えば、ここで氷月に押し付ける手はある。彼女はまだ、氷月の発言内容を聞いてない、と少なくとも司は認識しているだろう。

だから監視役に氷月を推薦する手もあるがーー

先日の彼女の発言が、脳裏に浮かんだ。

『ーーーーあの腐った思想が、とても苦手です』

真相が、知りたい。他ならぬ、自身の手でーーーー

「……僕が…」そこまで言いかけてまた司の表情が違うのに気付いた。



「……氷月。彼女を送り届けたんじゃないのかい?」

羽京が振り向くと、そこには静かに佇む氷月の姿があった。
「……ええ。ですが途中で気絶したので、代わりに今ニッキークンに運んでもらっています。」女性の寝室なので。

とサラっと付け加える氷月。
「それは…精神的ショックか何かかもしれないね」「どうでしょう」心底どうでも良さそうだ。

「……氷月。少し葵に当たりが強くないかい?」「…そうでしょうか」氷月がしらばっくれる。今日の会議の発言内容や今の様子を加味しても、明らかに当たりが強いのは見え見えだ。

「……そう見えるのでしたら、現代の頃の因縁でしょうね」冷静に氷月が呟く。

「因縁?…昔、関係があったのかい」
「ええ。……彼女、昔は私と同じ『尾張貫流槍術』の道場に居ました」

まさかの事実。それがどうかしたのかい、と司が問う。

「…彼女は所謂『天才』でした。私などより早く、技術を習得してました。…今でこそ武術から身を引いてはいますが……彼女には才能があります」

嗚呼、とそこで合点がいった。
先日彼女が『落ちこぼれ』と氷月に向かって発言していた事ともこれなら話の筋が一致する。

恐らく昔から比べられて来たのだろう。それを司も感じたのか、そうか。とだけ言うと、今度は会話の矛先を羽京に向けた。
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