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僕と彼女の声帯心理戦争

第7章 【第2章】謀略の議会


後ろで羽京から監視を交代された陽が「アレ…??」という顔で周囲を見渡している。

「……陽君、案内ありがとうございます~。
もう大丈夫なので、お仕事頑張ってきて下さい」
ニッコリと笑い、葵が指示する。
私、いつか四天王としてこの会議に加わってる姿が見たいです、頑張ってくださいね~と付け加える。陽はウェエエーーィ!!とテンション高らかに去っていった。

……その場を、沈黙が制した。


「……ふむ…私は、邪魔者の様ですね~」

少しぎこちない声で葵が呟いた。

それはとてもか細い声だが、洞窟内に酷く響いた。

これは……本当に葵の差し金か?

先程までの流れで、少なくとも監視役は今まで通り自分に任せられる筈だ。

誰だ?この脚本を書いたのは??葵じゃないのか??
疑問が頭の中をめぐり巡る。



「葵……違うんだ。君の事を完全に悪だと決めつけたわけじゃない」
「分かってます~……みんなの事を考えなきゃいけないんですよね」あはは……とから笑いをする葵。

どう見ても無理をしている。そこには役者のやるような大袈裟な身振り手振りや表情も無い。
……だからこそ、それは本物に見えた。本物なやか偽物なのか、区別のつかないモノ。


「……陽君は悪くないのです~。
勝手に羽京君は何処?って陽君に聞いた私が悪いのです。ですので~……責めないであげて下さい」
逆光を受けてふらりと立つその姿は、余りにも痛々しく……そして、今にも倒れそうな程か弱く見えた。



「葵……申し訳ないが、君にはカリスマ性……その他諸々、力があり過ぎるんだ。……君には常時監視を付けさせて貰うよ」司がそう申し訳なさそうに告げた。

「……はい…」

「……何処から聞いていたんだい?」
「……司君の、そういう芸当、って言ってた辺りかな……この質問の意味、無いのでは~」あはは…
と笑う彼女。何処か自暴自棄に見えるその姿。

『こんな質問をした所で、自分には演技をして人を騙すかもしれないから意味が無い』

暗にそう言っていた。

「……いや、大丈夫だよ。うん、君が演技が出来るどうこう前提では聞いてないんだ。」

「形式的なやつですな…」独り言の様にボソッと呟く。それは、近寄った司と羽京にも聴こえ、心に深く釘のように刺さった。
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