• テキストサイズ

僕と彼女の声帯心理戦争

第12章 【第3章】心の中に居た人


「そうだね…!!私もそう思う!見返りを求めないのすごく難しいと思うから……!!」

「そう…かな」

「「そうだよ!!」」二人が力強くハモった。

「大丈夫!!!!!アンタなら出来る!!羽京くらい楽勝で落とせる!!!」
ニッキーちゃんがバシンバシン背中を叩く。どうしてここでまた羽京君に話が…?

「いやあの…だから羽京君は…」
「うんうん!!大丈夫だよ!!!」

大丈夫じゃない~~~~~!!!!

私は半泣きになりながら、二人の激励を受けとり、「へへ、えーっと羽京君は違うんだけど……とにかくまあ…励まし?ありがとう…??」とだけ返した。

******

「……………………」

その間。羽京は静かに大樹と朝食の残りを森で平らげていた。

「女子会があるなら、こっちは男子会だなーー!!??!」
と叫ぶ大樹の勢いで、こちらは連日『男子会』の名目で大樹と二人っきりだ。

だがこの女子会開催中の間も、彼女ーー葵の監視は継続してるので、一応耳を済ませて聴こえる範囲内にいる。……大樹の大き過ぎる声があるので、かなりの遠距離になるが。

それでも今女子会の内容が、とんでもない方向に飛躍しているのは間違い無かった。

急に沈黙したのも、そのせいだ。
『羽京と付き合ってんのかい?』

付き合う……確かにこないだの光景を見ればそういう風に見えても仕方ないが……。
そして必死に違う違うと主張する葵。
……確かに付き合っては居ない。ただの『監視役』と『監視対象』だ。

だけど何故だろう……向こうに必死で否定されたらされたで、何処か胸が痛い。

こんな話、別にスルーしてもいいのに。と思いつつ、思わず耳を傾けていると、さっきまで残飯処理に勤しんでいた大樹がム!!と声をかける気配。

「ごめん、大樹。暫く声を出さないで」思わずそう指示すると、コクコクとわかったぞ~~!!なんかあるんだな!?という顔で頷く。

『大事な人には自由で居て欲しいし、息が苦しいなら助けたいーーーー』

あ。
埋まらなかったパズルのピースがピタリ、と脳内でハマった気がした。

彼女は誰も大事にしない訳では無い。ただ、その『愛し方』が人より違うのだ。見返りを求めない、愛し方。アガペーとも言うべき、非打算的な愛し方。

それ故に、他人からは普通の愛情には見えない……
ある意味では、異端の愛。
/ 137ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp