第1章 プロローグ
一週間の仕事を終え、いつも週末に行くバーへ急ぐ。
今日は凄くお酒が飲みたい気分だった。いつもなら着替えて行くけど、着替えなんてしてる時間が勿体無いと感じるくらい酒に溺れたかった。
とある建物の前に着き、地下へ降りる。
「着替えてこないなんて珍しいですね」
今日はちょっとね、と返してカウンターに座る。
「嫌なことでもあった?」
「わからない。とにかくお酒を飲みたかったのは事実。」
今日は強いのが欲しい。たくさん飲むの。とマスターに言えば「アンタいつも強い方の飲んでるのにね。」と小声で一言。
特に嫌なことがあった訳ではないけど、凄く飲みたい日なんて誰にでもあること、だよね。
私は家で一人で飲むのは好きじゃないから、こうやってバーへ行く。
悪酔いしない程度に”凄く”飲む。
夕方早めだからだろうか。人が少ない。
目の前で私のためにカクテルを作るマスターとそれをボーっと見ている私。
これは傍からみたらどう見えるのだろうか。
私は変な女に見えるだろうか。
そんなこと考えているうちにカクテルをスッと出される。
「”スターダストレビュー”」
鮮やかな水色のカクテルにちょっと胸が弾んだ。
ひとくち飲んでみたら爽やかで飲みやすかった。