第50章 最後のデート
名残惜しそうにパンダーの檻から離れた二人は、次に小動物と触れ合える広場に来た。
やはり小さい動物は人気なのか、子供達が柵の中で放し飼いにされているウサギやモルモットを撫でたり、抱いたりしている。
「見ろカノ!ハムスターが一列に並んで橋渡ってる!」
マイキーの視線を辿ると、長い橋があり、そこをいろんな種類のハムスターが一列になって歩いていた。
「まるでハムスターの行進ですね」
「コイツらも踏まねぇようにしねぇとな」
柵の中に入った二人の周りをウサギやモルモットが好きに歩き回る。子供の目線ならうっかり踏んづけてしまうことはないと思うが、中学生の目線からだと気を付けなければ、怪我をさせてしまう恐れもあった。
「あ、ウサギさんが近寄って来ましたよ」
一匹のウサギが、二人の方に向かって元気に飛び跳ねてきた。カノトはしゃがみ込み、ウサギが来るのを待つ。
「おいでおいで〜」
「あのウサギって種類なに?」
「ネザーランドドワーフって言うウサギですよ。耳が短くて丸い顔が特徴で、世界中で大人気のウサギさんです」
「よく知ってんね」
「前にテレビでウサギ特集やってたんです」
「お、近寄ってきた」
鼻をひくつかせながらネザーランドドワーフのウサギが距離を縮めてきた。
「捕まえた。柔らかくてふわふわしてる!」
優しく両手で抱き上げて膝に乗せると、その毛並みの良さに思わず驚いた声を出す。
「コイツすげーリラックスしてんじゃん。カノの膝の上が気に入ったんだな」
「ネザーランドドワーフって言ったら可愛らしい見た目に反して、野性的で走り回ることが大好きな活発な性格なので、ここまで大人しいのは珍しいかも知れないですね」
隣にしゃがみ込んだマイキーも人馴れしているウサギの背中をゆっくりと撫でる。
「撫でられんの気持ちいいのか〜?」
「凄くリラックスしてますね」
マイキーに撫でられたウサギは目を瞑り、リラックスしている。
「ウサギが人気なのが分かるわ。こんだけ愛くるしかったらつい構っちまうもんな」
「子供達にも大人気ですからね」
すると撫でられてリラックスしていたウサギが気持ち良さそうな声で"ぷうぷう"と鳴いた。
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