第41章 絶対的な『王』の名は
「ハハ!!テメェら如きが俺の敵だと!?」
最悪の状況の中、大寿が豪快に笑う。
「黒龍にしがみ続けてきた男と黒龍の財布だった男。イザナはテメェの心を満たしたか!?乾!!今でも東卍の財布のままか!?九井!!立場をわきまえろ、半端者のカス共。」
「(この人数相手に勝算はあるの…?)」
殺伐とした空気が漂う。
「…花垣、裏から逃げろ」
「え?」
「さすがに分が悪ぃ…」
「!」
「橘ナオト、八戒の死の真相を暴いてくれ。俺は佐野がやったなんて思ってねぇ。どうやって佐野の懐に入ったか知らねぇが、裏には絶ッ対ェ黒川イザナがいる!八戒の無念を晴らしてくれ、いいな!?」
「ハイ!!」
「行け!!」
「…大寿君。色々と…ありがとうございました」
「昔の"借り"はこれでチャラな」
そう言って大寿は笑う。
「タケミチ君!!」
「…うん!行こう、カノちゃん!」
その場を大寿に任せ、カノはタケミチとナオトの後に続いて裏から逃げる。
「待てコラぁぁ!!」
三人を捕獲する為に追いかけようとした東卍の兵隊達だったが、大寿の振り下ろした重い拳によって地面に叩きつけられる。
「ひっ」
その強烈な一撃に兵隊達は怯えた。
「久々にどついてやるかぁ」
ニヤリと笑い、大寿は上着を脱ぎ捨てる。
「楽しませろよ東卍!!」
「所詮過去の男だ。…イヌピー、花垣は逃がしても仕方ねぇ。けどアイツは捕まえろ」
「あぁ」
ココの命令でイヌピーは、大寿に気付かれないように裏に回り、カノを追いかけた。
✤ ✤ ✤
「カノちゃん平気か!?」
「うん!大丈夫!」
ガッ!!
「っ………!?」
前を走るナオトとタケミチの後を追いかけていると、突然後ろから腕を掴まれ、驚いて咄嗟に振り返る。
「青宗くん!?」
「…行くな」
「え?」
「カノちゃん!!」
「私は大丈夫!!後から必ず追い掛けるから二人は先に行って!!」
「けど……」
「早く!!」
言葉を強めて叫べば、タケミチは悔しそうに顔をしかめながら頷き、ナオトと一緒に先に行った。
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