第41章 絶対的な『王』の名は
「テメェら…東卍の兵隊ゾロゾロ引き連れて何しにきやがった?」
「黒川の命令でテメェらを拉致しに来た」
「こそこそ嗅ぎ回ってる警察のラットがいるっていうからよぉ、つけてみりゃ元上司二人とご対面だ」
「元東卍の壱番隊隊長、花垣武道。そして元黒龍十代目総長、柴大寿。黒川イザナを嗅ぎ回ってるオマエらは東卍の敵と判断した」
「だからってこんな大勢で押し掛けるなんて卑怯じゃない!!」
「バカ!カノちゃん!」
イヌピーとココの言葉に苛立ちを抑えきれなかったカノは二人に対して怒りをぶつけ、席から立ち上がった。
「オマエ…」
「…私が誰か分かるの」
不機嫌そうに言えば、イヌピーの顔が驚きの色へと変わる。それはココも同じで、カノを見た瞬間、目を見開いていた。
「宮村カノト…」
「そうだよ」
するとココがククッと声を押し殺して笑い、カノに向けてべっと舌を出した。
「久しぶりだなカノト♪」
「…一、くん」
あの頃のように意地悪そうな顔で揶揄うココ。だが今は敵と知り、カノは警戒するような険しい目でじっと見つめる。
「まさかオマエが女だったとはな。しかも花垣と一緒になって嗅ぎ回ってるとは思わなかったわ」
「……………」
ココが喋っている間も、イヌピーは無表情でカノを見ている。
「決めた。カノト、オマエは黒川イザナの元まで連れて行く」
「は、はぁ!?」
「何でコイツを!?」
気まぐれなのか、面白がっているのかは分からないが、ココの突然の発言にカノとタケミチは驚いた顔を浮かべる。
「イザナはオマエを気に入ってる。ずっと前から天竺に入れたがってたからな」
「絶対にお断り!!あの時もそう言って逃げたのに今でも捕まえようとしないでよ!!」
「オマエに拒否権なんてねーよ。それに女だと"色々"使えるからな」
「!!」
「だからこれからは王の為に役立てよ」
「…最低。女を…何だと思ってんの。一くんがそんな人だとは思わなかった」
怒りを孕んだ瞳でココをキッと睨みつける。強い眼差しを向けられたココは見下すような顔で笑い返した。
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