第41章 絶対的な『王』の名は
「いいか。警察に協力する気はねえ。だが、オレも八戒の事で東卍には因縁がある。情報交換だ。警察の掴んでるモンも知りてぇ。今からする話はここだけの話だ」
「わかりました」
「遠慮せずに食え、オレの店だ」
「スゲッ社長さん!?」
巨大なガラス張りの向こうではサメや魚達が自由に泳ぎ回り、まるで水族館にいるみたいだ。
「で、知りてぇ事は"黒川イザナ"と"黒龍"について…だったな?」
「はい。黒川イザナって"天竺"の総長だった奴ですよね?そいつがなんで黒龍の総長になって。さらに東卍に入ったのか…よくわかってなくて…」
「…ちょっと違うな」
「え?」
「順番が違う。…まず"黒龍"の事から話そうか」
「黒龍の事…」
煙草に火をつけた大寿は口に咥え、話し始める。
「オレが率いてたのは"十代目"。それはわかるな?」
「ハイ」
「そもそも黒龍を創ったのは誰か…知ってるか?」
「創った人?」
「初代黒龍総長、佐野真一郎」
「え!?」
「(真一郎さんが…?)」
「そう、黒龍を創ったのはマイキーの実の兄だ」
「マイキー君の…お兄さんが黒龍の創設者…?」
その事実にタケミチは驚きを隠せない。
「ああ、初代黒龍は伝説だった。それは二代目、三代目と脈々と受け継がれていき…そして八代目総長、黒川イザナがそのバトンを受け取った」
「八代目…!?って事は十代目の大寿君より前!?」
「ああ」
「(東卍が結成時に潰したのが九代目。八代目って事は東卍ができる前だ。)」
「じゃあ黒川イザナって大寿君より年上?」
「ああ、オレの2コ上"S62世代"」
「S62世代!?」
S62世代はまとまるはずのない極悪世代が一つになって創られたチームだ。"黒川イザナ"、"望月莞爾"、"灰谷蘭"、"灰谷竜胆"、"斑目獅音"がS62世代と呼ばれている。
「これで繋がったね。S62世代と言えば天竺の連中だ」
「黒川イザナは黒龍を引退して3年後に横浜"天竺"を創り、東卍とモメた…。"関東事変"の勃発だ」
「(関東事変!?12年前の"今"起きてる事だ!!でも気になるのは…)」
「どっちが…東卍と天竺、どっちが勝ったんですか?」
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