第41章 絶対的な『王』の名は
「ここで黒龍と戦って…結果、未来はいい方に変わったって思ってた…。柚葉が大寿を殺すのを止めて、黒龍は壱番隊の下についたし、稀咲も東卍から追い出せた」
「なのに全然未来は良くなってないし、むしろ酷くなってた。タケミチくん達が命を掛けて守ったモノが簡単に壊れていった」
「……………」
眉を顰めたタケミチは苛立つように大声を出した。
「あー!!!もう!!どうしたらいいんだよマジで!!!」
「静かに、ここ教会だよ。イライラするのは分かるけどもう少し声のボリュームを…」
「うるせぇぞ…」
「あ!すいません!」
「ほら怒られたじゃない」
通路を挟んで向こう側の席に座っていた男にタケミチは謝罪する。
「オマエらも"アイツ"の冥福を祈ってくれ」
「ん?アイツ?」
「アイツが死んでから毎日ここに来るようになっちまった」
「……え!?」
「(まさかこの人…)」
「"八戒"は天国でも弱虫のままかな…?」
「………!?」
「アーメン」
その男の顔を見た途端、二人は驚いて目を見開いた。
「大寿君!!!?」
「(柴大寿──!!?)」
立ち上がった大寿がこちらに歩いて来る。
「…みんな死んじまったな。元気してたか?花垣。一丁前に女連れとはなぁ」
口の端を吊り上げながら大寿はチラリとカノを見る。
「その生意気な目、どこか見覚えがあんな。名前は…なんつったか…」
「宮村カノです。前に会った時は男装していたのでこの姿じゃ気付かないのも当然だと思います」
そう告げると大寿は微かに目を見張った後、ニヤリと笑った。
「そうか、まさか女だったとはなァ。道理でテメェを見た時、あのガキを思い出すワケだ」
「……………」
「そう警戒するな。もう花垣をどついてやろうとか思ってない。それより…何でここにいる?」
「大寿君!!少し…話せませんか!?黒川イザナと黒龍について!どうしてもお聞きしたいんです!!」
「(やっと見つけた。十代目黒龍総長…彼なら過去の東卍を知る生存者!!)」
その後、ナオトと合流し、大寿が経営している店へと場所を移した。
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