第41章 絶対的な『王』の名は
2018年───現代。
目が覚めた二人は、過去で新しく知った事、考えた事、全てをナオトに話した。
「なるほど。稀咲が本当にタイムリーパーなら…殺すしかないですね」
「え?」
「怖いこと言わないでよナオトくん!?」
「いくら過去を変えても、その後に改ざんされるなら意味がない。過去で殺すしかありません」
「…そんな…」
「未成年で犯罪者にはなりたくないよ…」
真剣な顔で物騒な事を言い出したナオトに二人はショックを隠せない。
「冗談です」
「オマエっ…TPOって知ってる?」
「その冗談は心臓に悪い…」
胸に手を当て、ホッと安堵の表情を浮かべるも、タチの悪い冗談にタケミチは怒る。
「稀咲は今、過去で何を狙ってるんでしょう…?」
「え?」
「……………」
ホワイトボードに貼られた写真と集めた情報を見ながらナオトは何やら考え込む。
「12年前の稀咲は"天竺"を使って東卍を乗っ取ろうとしている。しかし現代では"天竺"という名前さえ警察では把握していませんし、稀咲は既に死んでいます」
「って事は稀咲はやっぱり失敗してる…?」
「(稀咲にとって計算外の何かが起きたのかも。天竺…か。もう一度、集めた情報を見てみようかな。)」
そう思い、ホワイトボードに目を向ける。
「(あれ…?)」
「ん?どうした?カノちゃん。」
「いや…その写真の男…」
「写真?」
一枚の写真に目が留まる。褐色肌に花札のようなピアスをした男に見覚えがあった。写真の下に書かれている名前を見ると…
「黒川…イザナ…?」
確かに【黒川イザナ】と書かれている。カノは大きく目を見開き、驚きの声を上げた。
「え!?何でコイツが…!?」
「黒川イザナ?」
「ほら!天竺の総長だよ!」
「……あ"ーー!!!」
タケミチも思い出したのか、同じように驚きの声を上げながら椅子から立ち上がり、ホワイトボードを指差した。
「ナオト!!この"黒川イザナ"って奴何!?」
「ん?あ──東卍幹部の一人のハズです。確か"黒龍"の元総長だったはず…」
「え!?黒龍の総長!!?」
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