第41章 絶対的な『王』の名は
「なんかオレら見られてね?」
「肆番隊のトップが双子って事に驚いてるんだと思うよ。珍しいよね、あんな子が不良の世界にいるなんて」
「どう見ても不良ってガラじゃねーしな」
「手、振ったらなにか反応してくれるかな」
アングリーが手を振ると驚いた顔を浮かべたカノトが恐れ多くもペコペコと頭を下げた。
「ペコペコし過ぎだろ」
「でも凄く良い子だよ」
「マイキーのお気に入りだからな」
「そうなんだ。総長が気に入るのも少し分かる気がする。今度話しかけてもいいかな?」
「いいんじゃねー。あんまり仲良くし過ぎるとマイキーが怖ぇけどなァ。まぁ自己紹介程度くらいは大丈夫だろぉ」
スマイリーは何とも気の抜けた口調でそう言った。そしてドラケンが話を続ける。
「昨日ウチのメンバーが東京各所で襲撃にあった!!横浜の"天竺"ってチームの仕業だ!!」
「横浜?」
「何で神奈川のチームが東京に?」
「天竺は最近になってできたチームだ!!どんなチームかまだわかんねぇ!!オマエらの持ってる情報が欲しい!!まず最初にモメたのは壱番隊!前に出ろ!」
タケミチと千冬とカノトが横並びで前に出る。そして千冬が口を開く。
「オレらを襲ってきたのは"望月隊"と名乗っていました」
「望月隊?」
「呪華武元総長、望月莞爾が率いてる部隊だ。恐らく天竺の"主力部隊"」
スマイリーが笑顔のまま答える。
「(望月莞爾…。拳一つで千冬くんをノックアウトさせた男か。)」
「川崎呪華武のモッチーじゃん」
「ちょー有名人!」
「"S62世代"の一人だ!」
「(S62世代?)」
「天竺の主力はモッチーだけじゃねーよ」
「あン?」
「天竺には"灰谷兄弟"もいた」
三ツ谷が口にした"灰谷兄弟"という名前にムーチョがピクリと微かに反応を示す。
「灰谷兄弟って…」
「六本木仕切ってるあの灰谷!?」
「"S62世代"連中ばっかりじゃん!」
「(灰谷兄弟って…一声かければ100人もの人間が集まるカリスマ兄弟って千冬くんが言ってたな。その灰谷兄弟も望月と同じ"S62世代"なの?)」
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