第41章 絶対的な『王』の名は
「は!?黒川イザナ!?」
「う、うん…。何でそんなに驚いてんの?」
「…さっきまで一緒にいた」
「え!?天竺の総長と一緒にいたの!?」
驚くタケミチにここに来るまでの経緯を説明した。
「──……という事があったんだ」
「天竺から勧誘されるって…カノちゃんも変な奴に気に入られちまったな。しかもその黒川イザナって奴、完璧マイキー君からカノちゃんを奪う気じゃん!」
「まぁ…奪われる気はないけど。はぁぁ…何で私なんだよ。捕まえた所で何の利用価値もないってのに…」
「捕まんなよカノちゃん。オマエを奪われたらマイキー君が黙っちゃいねぇ。もしかすると死人が出る可能性がある。」
「それはやばいね。ブチ切れたマイキーくんは誰にも止められないし。とりあえず捕まらないように逃げ切るよ」
"そうしろ"とタケミチが言った。
「それで話を戻すけど…その鶴蝶って人は、どうして黒川イザナを放っておけないの?何か理由があるとか?」
「オレ、カクちゃんに頼まれたんだ。"黒川イザナを救ってくれ"って。イザナは稀咲に利用されてるからって」
「!」
「なぁカノちゃん…。オレはまた、稀咲に踊らされてるだけなのかな」
「それを確かめる為に明日の集会で少しでも手がかりを掴もうよ」
「そうだな」
✤ ✤ ✤
「これより東京卍會緊急集会を始める!!」
神社に集まった東卍メンバーにドラケンが号令を掛ける。
「(肆番隊…スマイリーくんの隣に立ってるのが弟のアングリーくん。本当に顔が怒ってる。でも優しい人なんだよね。)」
肆番隊の方をチラッと見れば、顔のよく似た双子がいて、タケミチの言う通り、肆番隊のトップが双子なんだと知る。
するとじっと見ていたせいか、その視線を感じ取ったアングリーとバチッと目が合った。
「(わっ!目が合っちゃった!流石にジロジロ見過ぎだよね…!)」
アングリーは怒った顔のまま、小さく手を振ってくれた。それに対してペコペコと頭を下げる。
「(不思議だ。スマイリーくんは笑顔だけど心は鬼だし、アングリーくんはブチギレ顔だけど天使の心を持ってるみたいに優しい。うーん…同じ双子とは思えない。)」
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