第56章 彼の運命
ドンッと三発の銃弾が発砲され、咄嗟に目を瞑り、すぐに襲ってくる痛みを待つ。
けれどその時、何かを殴ったような音と銃が地面に転がるような音が聞こえた。
「………?」
そっと目を開けたカノトの前では、銃を持っていた男が地面に倒れている。
「大丈夫か?カノ、タケミっち」
「ド…ドラケン君!!」
自分を庇うように立つドラケンの姿に、カノトとタケミチは驚いた顔を浮かべた。
「くっ…くそっ!!」
「逃げるぞ!!」
ドラケンに殴られた際に落とした銃をそのままに、男達はその場から逃げ出した。
「ありがとうございますドラケン君」
「ああ…」
「ドラケンくん、怪我はないですか?」
「おう」
「庇ってくれてありがとうございます」
「オマエに怪我がなくて良かったよ」
二人の感謝の言葉に返事を返すドラケン。
「物騒なモン持ち歩きやがって…」
残された銃を蹴り飛ばし、カノトの方に顔を向ける。
「にしてもカノ、さっきのはマジで危なかったぞ。挑発も程々にしとけ。正常な判断が出来ねぇ奴は何するか分かんねぇからな」
「すみません…」
「オマエに何かあったら兄貴が悲しむだろ」
「はい」
ドラケンに優しく咎められ、先程の自分の行いを心の中で反省した。
「でも…なんでドラケン君がここに?」
「今日タケミっちとカノを狙ってる奴がいるってイヌピーが聞きつけてね」
「!」
「で、オマエんち行ったらここにいるって聞いてよ。カノんちにも行ったら留守だったから、もしかしたらタケミっちと一緒なんじゃないかって思ってさ」
「アイツら…やっぱオレらを狙ってたのか…」
「ドラケンくん、アイツらって…」
「"六破羅単代(ロクハラ)"の下っ端だ」
「(本当に小物だったな。)」
「オマエらってよー、肩書きだけ見ると超大物だから、きっと梵加入にびびったんだろうな」
そう言ってドラケンは笑う。
「僕なんか大物じゃないですよ。大した肩書きでもないですし」
「『無敵のマイキーのお気に入り』『東卍の秘密兵器』。これだけの肩書きでも十分"超大物"扱いだろ」
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