第56章 彼の運命
照れくさそうに尋ねた千咒に二人は顔を見合わせて笑う。
「うん、もちろん」
「友達になろう」
タケミチが手を差し伸べる。
「じゃあオレもオマエになんかあったら守んねぇとな!」
「僕も千咒を守るよ。友達だから。」
「バーカ、いらねぇ約束だ。ジブンの方がつえーし」
「ハハたしかに」
「なんたって梵の首領様だからね」
「でも、ありがと」
差し出された手を千咒が握る。
バチンッ
「え?」
『千咒!!』
「(まただ!!また千咒が殺されるビジョン!!)」
『………、花垣、カノトを守れ…』
『え?』
バンッ
『カノちゃん……!!!』
「(どうなってんだよ…今度はカノちゃんも殺されるビジョンかよ!!千咒だけじゃないのか!?)」
降り頻る雨の中、倒れてる千咒の側でタケミチは一発の銃声を聞いた後、何者かに撃たれたカノトが血を流して倒れるビジョンを見た。
「タケミチくん?どうしたの?」
意識がどこかに行っているタケミチを呼べば、ハッとした顔でカノトを見る。
「(言えねぇ…。カノちゃんが死んじまうなんて。どうにかして二人の未来を回避しないと。…あれ?でも今のビジョンって遊園地?前より鮮明に見えたけど…)」
「おーい、タケミチくーん」
「(今のって一体…)」
「あ…雨。」
「どこかで雨宿りしよう!」
急に降り出した雨に慌てるカノトと千咒。
「(遊園地…ここだ…。)」
「何してるのタケミチくん!早く避難しないとずぶ濡れになるよ!」
「(雨…)」
『約束…守ったぞ』
「(約束!!!)」
千咒が短冊に書いた願い事を思い出す。
「(あれが未来視だとしたら…今日だ!!)」
「花垣ぃー早く早くー!」
今日これから起こる出来事に気付いたタケミチは、驚きを隠せない表情で目を見開き、手で口元を覆った。
◇◆◇
「あーあ、雨やまねぇなぁ」
「本降りになっちゃったね」
近くのフードショップで雨宿りすることになった三人は、頼んだ食べ物をつまみながら雨がやむのを待つ。
.