第56章 彼の運命
「機は熟した!!7月14日、我ら梵は関東卍會と六破羅単代を同時にたたく!!!"三天戦争"を始めるぞ!!」
千咒がそう宣言した事で、場内は再び盛り上がりを見せる。
「("三天戦争"…)」
梵の特攻服に袖を通す。
「(戦争って言葉はあまり好きじゃない。でも…これで万次郎くんに会える…!!)」
首から下げたネックレスの指輪をギュッと握り、マイキーと会える日を願うカノトだった。
◇◆◇
梵の集会を終えたその日の夜───。
「キャシーご飯だよ」
「にゃあ」
ステンレス製のフードボウルに餌を入れ、自分の部屋で遊んでいるキャシーを呼べば、尻尾を揺らしながらリビングにやって来た。
「相変わらず美味しそうに食べるね」
「にゃう」
上品に食べる姿は誰に似たのか、腹ぺこでも決してがっついたりせず、ゆっくりと餌を堪能するキャシーを撫でる。
「兄さんは大学の飲み会で遅くなるし、今日の夕飯は冷蔵庫にある物で何か作ろうかな」
そこでふと千咒の顔を思い出す。
「瓦城千咒か…この前とは別人だったな。どこにでもいる普通の女の子なのに、梵の首領やってる時は雰囲気が違くてビックリする」
ヴーヴー…
「!」
テーブルの上に置いていた携帯が震え、相手を確認するとタケミチからだった。
「もしもし?」
《カノト!デートいこうぜ!》
「え?その声は…千咒?」
出た途端、千咒の元気な声が聞こえ、"もしかして千咒の番号から?"と思い、携帯を耳から離して相手の名前を確認するとやっぱりタケミチの番号で合っている。
「(何でタケミチくんの携帯に千咒が?)」
《だあああ!!急にオマエが出たらカノトがビックリすんだろ!?》
「タケミチくん…?」
すぐ側からタケミチの声が聞こえ、千咒から携帯を奪い返すと、今度は彼の声が耳元で聞こえた。
《悪ぃカノト!オレもさっき千咒に呼び出されてさ。なんかコイツ、オレらに相談したいことがあるんだって。今から出てこれるか?》
「相談…。分かった、準備したら行くよ」
《でもマドカさんいるんじゃねえの?》
「今日は大学の飲み会で遅くなるんだ。一応メールしておくし、平気」
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