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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第4章 抱擁



「夕凪、顔色悪いよ、もう今日は離れでお休み」

 厨房にいたお母様が眉を寄せてあたしを覗き込んでくる。これ以上、厨房にいても恐らく邪魔になるだけだ。実際気分は優れず体が重たい。この素敵なお着物はまだ着ていたかったけれど、あたしは離れに向かう事にした。


 本屋敷の回廊を渡り、離れに向かって歩いていた時だ。

「ちょっといい?」

 すれ違い様に声をかけられる。確か、この方は……悟くんの、はとこの楓様だ。ちょうど成人されたところだと聞いている。

「なんでしょう? 楓様」

「気安く名前呼ばないでくださる?」

 あたしは、軽く着物の袖をひっぱられ、回廊の隅に寄せられた。

「あなた、悟のこと好きでしょ?」

「え?」

「ちょっと本家に気に入られてるからって調子に乗らないで。分家はみんなあなたの事大っ嫌いですから。ただ飯食べて色目使う小娘だって言われてるのよ」

 中学校でも悟くんのファンから「好きなの?」と何度か尋ねられたが、それとはまるで別格の呪いに近いうめき。桁違いの醜悪な敵意をむき出しにしてくる。


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