• テキストサイズ

【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第4章 抱擁


「再来年、悟が18歳の誕生日を迎えたら本人に祖父の遺言書を開示する。それに従って婚約者を制定する」

 ……。

 遺言書によって、婚約者を制定する――。


 当主の声が頭の中で何度も繰り返される。こんな日がいつか来ることはわかっていたけど、いざ、こうやって耳にすると、心がぎゅっと苦しくなってよくわからない気持ちになる。

 手にしているお盆が震えて、グラスがカタカタ鳴り出した。いけない、早くここを出なきゃ。

 出ようと思ったけれど後方にいる悟くんの様子が気になる。今、悟くんはこの話を聞いてどんな顔をしてるんだろう? 見たいけど怖くて見れない。後ろを振り返れない。

 婚約者、婚約者。

 変だ。目の奥からじわりと何かこみあげてくる。このままじゃ、このこみあげてくるものが溢れてしまう。

 歩かなきゃ、早くこの部屋から出なきゃ! そう思うんだけど、固まって足が動かない。

/ 625ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp