• テキストサイズ

【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第10章 別れ


『オマエ何言ってんの? 別れるって何? ひとことも聞いてねぇんだけど』

「さっき言ったとおりだよ。悟くんはあたしの事は気にせずに遺言を守って。あたしはもともと五条家に迷惑をかけるつもりはなくって、この時がきたら身をひこうと思ってたの」 

『迷惑なんかかけてねぇだろ、身をひく方が僕にとっての迷惑だろ』

 もう五条家にはたくさん迷惑をかけてる。この1年、本当に良くしてもらった。なのに、まだこうやって、ギリギリまであたしを気遣ってくれるのかと思うと切なくなる。

 悟くんは本気であたしを引き止めてるように見える。これが演技だとしたら相当なものだよ、悟くん。

 きっとこういう段取りなんだよね? 悟くんは、最後まであたしに優しくしてくれて、恋人をしてくれる。その上で、当主はあたしに誠意を持って別れをお願いする。婚約者が決まっているからとあたしの良心に訴えかける。

 それに乗っかる形で別れてもよかったけど、最後くらいあたしは、鈍感じゃなく、気の利く彼女でありたい。五条家にそんな事を言わせるんじゃなく、こちらからお礼を言って、いさぎよく身を引く人でありたいんだ。

「たくさん高価なプレゼントや旅行をありがとう。五条家にとっては迷惑だったんだろうけど、あたし幸せだったよ。別に悟くんを恨んでなんかいない。それに、あたしはこれからもずっと悟くんの側にいる。いていいかな? 原点に戻ったの。悟くんがお盆の夜、あたしを抱きしめたあの日、言ってくれた言葉あったでしょ? あれがあたしの全てで、始まりだったんだ。その約束はこれからも守る」

『マジで言ってる意味がわかんねぇ』
「当主のところに戻るね」

 これ以上、悟くんと話していたら心が揺らぎそうだった。悟くんは遺言書に従うって当主と話してた。巻物にも自筆でサインしてた。その意思を知っているのに邪魔なんかできない。

 自分の欲しいものを欲しいって言って、後悔しないように生きろって言ってくれたけど、それは悟くんがあたしを支えてくれていたから。自分ひとりじゃぐらぐらして、とてもそんな事出来ない。

 悟くんを置いてあたしだけ当主の部屋に戻る。
「話は終わりました。悟さんとは別れます。これまで本当にありがとうございました」

/ 625ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp