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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第10章 別れ


「夕凪を高専に送り出した時はね、ひょっとしたら何か起きるかもしれないって思ったの。お父様が言っていたように夕凪が幸せになれるような気がしたの。でも、そういう顔してるって事は、違うってことなんでしょ」

「……何ひとつ後悔はしてないんだ。高専に行かせてくれた事も感謝してる。ただ、どうしていいのかわからなくなっただけ。何も信じれなくなっただけ」

 駄目だ、こうやってお母様と話していると、ありのままの自分が出て来てしまう。悲しみと共に涙がぽろぽろと出てきてしまう。

「お母様、あたしね、とんだ大馬鹿者だと思うんだけど、遺言に書かれている悟くんの婚約者はあたしじゃないか、なんて思ってたの」

「婚約者の事は本家しか知らないでしょ。夕凪は何か聞いてるの?」

 頭を左右に振る。その度に涙がこぼれて袖ですっと拭う。しばらく何も話せなくなった。

 遺言を見てしまった事はあたしだけの秘密だ。誰にも知られちゃいけない。お母様が背中を優しくさすってくれるから、ますますこの事実に耐えられなくて辛くなってきてしまう。

「坊っちゃまは、夕凪の事を愛してるんじゃないの? 遺言の婚約者かどうかは別として、今は信じてみていいんじゃないの? お着物も夕凪と色合わせして作られたんでしょ?」

「う、ん、だからあたしとんだ勘違いしてしまって、どんどん欲深くなっちゃって。お母様、あたし、あたしね……見てしまったの」
 


「見てしまったって、何を?」
「遺言書。悟くんの婚約者のことについて書かれてた」
「へっ!?」


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